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イベント・施策
似て非なる、学校広報と学校宣伝
学校広報という概念は学校もビジネスとして運営しているために当然存在しますがそれをきちんとノウハウ化して運用できている学校は稀だと思います。その理由の第一は、【広報】と【宣伝】の区別が曖昧であるからと推察できます。
英語に訳すると広報は「public relations」であり、宣伝は「promotion」です。この点からもわかるように広報と宣伝は似て非なるものといえます。このため、広報と宣伝の違いを考察することによって学校広報の本質が見えてきます。
広報と宣伝の違いは?
宣伝とは基本的に商品や商材を売るためのセールスポイントを積極的にアピールする情報活動といえます。そのため元来、真面目さ、実直さが大きなステータスとなる学校教育とは相性が良いとはいえず、このような理由が学校の宣伝活動を困難にする一因になっていることは否めません。
では広報という意味を掘り下げてみるとどうでしょうか?
上記でも解説したように広報の意味を英語に訳すると「public relations」となります。注目すべきは公共を意味する「public」という単語が含まれている点です。そして「relation」は【関係】や【つながり】を意味する英単語です。
このため広報とは、公共的な相互関係、と訳することが出来、広報活動とはあくまで公共性を下地とした、利害関係、協力関係を深めるため情報活動、といったニュアンスが強く、宣伝とは似て非なるニュアンスとなります。
学校広報とは、学校宣伝と比べ、その対象が多岐にわたります
宣伝とはあくまで売り手と買い手、学校宣伝ならば学校運営側と、授業料を払ってそれを利用する生徒や授業料を払う生徒の保護者との関係で完結します。
しかし学校広報の対象は運営側や生徒はもちろん、保護者やそれらの代表である教育委員会、さらには学校周辺の住民まで含めて考えるべきです。
宣伝が一方的な情報の告知やPR活動なのに対し、広報とは対象全ての良好な関係性を維持することが目的の第一といえます。
そのため広報における宣伝活動とはその目的を果たすための手段に過ぎません。
以上のことから、学校教育の特性上、学校の宣伝活動は相性の問題で難しい点が多いですが、学校広報は全ての当事者の良好な関係性の維持、それにより良好な学校運営を行う上で不可欠な情報活動といえます。
昨今、頻出する学校関係の不祥事や耳を洗いたくなるような事件は学校広報の不首尾によるものが原因の側面にあると考えます。
これらは、詰まる所、組織力の脆弱さという点に帰結します。
まとめ・営利第一主義ではない学校運営は広報活動がより重要になります
学校も組織であるからには相応の守秘義務も存在するし、企業秘密があっても不思議はありません。そのためガラス張りのような開かれた学校運営が求められる風潮は筋違いと言わざるを得ません。多くの企業がそうであるように、そのようななにかもがオープンな体質では運営は立ち行かなくなるでしょう。
大切なことは学校運営に関係する、学校職員、生徒、生徒の保護者、学校の近隣住民までの当事者全てを信頼関係というセーフティーネットで相互に結び付ける情報活動を効果的に行うことです。それこそが学校広報の根本です。