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就職・キャリア支援で学校は変わる!参考にしたいキャリア支援の取り組み【専門学校編 Vol.3】
近畿医療専門学校、大阪自動車整備専門学校、専門学校ESPエンタテインメント
就活サポート、キャリア支援は、それを目的として入学する学生を抱える専門学校にとって非常に重要で、入試広報にも直結します。今回はシリーズ企画の3回目。就職・キャリア支援に力を入れている専門学校に取材を申し込み、学校で実施しているキャリア支援についてお話しをうかがいました。
近畿医療専門学校
現場で実力を発揮できる柔道整復師・鍼灸師を育てるというコンセプトで設立された大阪の近畿医療専門学校。国家資格の取得はもちろん、活用してこその資格、役立ってこその施術をモットーに、独立を視野に入れた教育を実践されています。今回は柔道整復学科の吉村道人様と入試広報課の真田尚弥様にお話を伺いました。
就職状況についてはいかがでしょうか
就職率は開校当時からずっと100%を維持しています。
街を見渡していただくと、鍼灸院や整骨院が多いことを感じられると思うんですが、この業界はそれだけ間口が広く、就職には有利と言えますね。
うちはほとんどの学生が既にどこかの先生の下でお勤めされていて、就職のためというより、資格をとって今働いているところでのキャリアアップや、将来的に独立を目指すといった、モチベーションの高い学生が多いです。
柔道整復師、鍼灸師は独立開業もすることができる国家資格になるので、中にはすでに多くの社会経験を積んでいて、就職よりも開業したいという学生もいますね。
うちは理事長が現役で整骨院の店舗展開をしている実業家でもありますので、経営のノウハウを知りたければ惜しみなく教えてもらえますし、背中を押してもらえる部分は大きいと思います。
将来独立を目指している方のためのカリキュラムなんかもあるんでしょうか
学校の授業の中では厚生労働省の規定で勉強する内容なども決まってくる部分が多いので、余った時間と言いますか、土日などを利用してどこかに見学へ連れて行くとか、セミナーを行ったりしてサポートしています。
教育面で重視されている部分はどこでしょうか?
理事長が整骨院を経営している中で、ある時お店に専門学校を出て資格を持った新卒の子を入れたけれども、仕事をお願いしても全然できていなかったということがあって、現場で役に立たない今の学校教育に疑問を持ったというところが本校のスタートなので、「現場重視」「即戦力」を重視することが学校の教育方針になっています。
現場で必要なことは何なのか?という観点で言うと、学力よりも実践的な技術やコミュニケーション能力になってきていますので、うちは合格率よりも実践力というところを重視していますね。ここは他校とは大きく違うところかもしれません。
キャリア支援で困っている部分はどんなところでしょう?
いちばん困るのは「何がしたいのか、どこに行きたいかわからない」という学生ですね。
私たちもそういう状態の学生を大事な企業様や整骨院様に送り出すわけにはいかないので、臨床実習とかいろんな現場を見せてあげて、ぼんやりしていたイメージをはっきりしたものにしてあげることが、もしかしたらキャリア支援にもなっているのかなと思いますね。
また、インプットは得意なんですが、アウトプットが苦手な学生が多いというのも感じますね。勉強はよくするんですが、それを実践するのが苦手なんです。これは私たちの今後の課題にもなっています。
広報的には何か工夫されていることはありますか?
動機付けの部分で、今は柔道整復師とか鍼灸師というよりも、「スポーツトレーナー」といった方が興味を持ってもらえますね。自分が目指す仕事なのに、実際にどんなことをするのか、分かっていない学生も以外と多いです。
「スポーツトレーナーをするということは、選手の体を触る必要がある、そのためには医療系の資格が必要で、その資格の中には『柔道整復師』とか『鍼灸師』といったものがあって、資格を持つことでトレーナーの仕事ってより幅が広がるよ。」という話をすると、「だから必要なんだ」「だから勉強しないといけないんだ」というふうに変わっていくので、入り口の部分で工夫をしているというのはありますね。
イメージ的に鍼灸院や整骨院「不景気なんじゃないか」とか「就職先ないんじゃないか?」といったイメージを持っている学生もいるんですが、入学してみるとすごく求人が多くて、人手不足ということがわかるんです。
学校に来るとわかるんですが、来ないとわからない部分ではあるので、ここは学校だけではなく業界としても若い人に興味を持ってもらう取り組みが必要だと思いますね。
求人はどのように受け付けて、学生に紹介しているんでしょうか?
求人票もありますが、コネや紹介の方が多いですね。鍼灸院や整骨院は就職先の先生と師弟関係のような形になることが多いので、どこの先生につきたいかといった基準で探すことが多いです。例えば、うちは教員も整骨院を経営していたりするんですが、先生みたいな人が経営する整骨院はないですか?とか、マッサージを取り入れている先生でいい先生いませんか?など、就職というよりもお師匠さん探しをしている感じですね。
就職だけではなくて、独立してからも横の繋がりがとても大切で、お互いにライバルではなく、同業の仲間として情報交換して技術の向上を目指したり、患者さんを紹介し合ったりもするので、ネットワークは大事ですね。
だからこそ、コミュニケーション能力が大事で、そういった能力が身に付くよう指導しています。それができないとお客さんが来なくなっちゃうことにもなりかねないですしね。
最後に目指すキャリア支援とは
もうこれは学校設立時のコンセプトとして一貫しているんですが、
「すぐに社会貢献できる人材」という部分への特化ですね。
大阪自動車整備専門学校
1946年の創立以来、実践的な教育をモットーに、約35,000名以上の卒業生を自動車業界に送り出してきた大阪自動車整備専門学校。今回は進路指導担当の柏原伯正様と入試広報担当の西村美咲様にお話を伺いました。
最近の就職状況についてはいかがでしょうか?
おかげさまで就職率は5年連続100%と好調です。
毎年学生数の約2倍となる180〜200社から求人票をいただいています。
御校の最も特徴的な部分はどこですか?
うちの特徴は何と言ってもアットホームで、学生と教員やスタッフとの距離が近いこと。
各教員は、学生に頭ごなしに指導するのではなく、徹底して学生の話を聞くということを心がけています。
キャリア支援の部分でも、教員はみんな実際に現場で働いたことがある業界の先輩ばかりなので、教員というよりも先輩として、真剣に話を聞いて答えていますので、学生と教職員との信頼関係は非常に硬いです。
今日も学生から「就職のために勉強しに行っていいですか?」と電話があったので、これからつきっきりで1日しっかり勉強していく予定なんです。
こういったサポートを全員で行っているので、口コミでの入学者も増えましたし、企業からも人材がしっかりしてきたと評価が変わってきたのを実感しています。
オープンキャンパスでも普段のこのアットホームな雰囲気が伝わるよう工夫しています。その結果、入学者のアンケートでは「アットホームな雰囲気が良かった」という理由が一番多いです。
自動車整備というと、男性が働く現場という印象がありますが、学生さんの中には女性もいらっしゃるんですね。
はい。数年前は1名しかいなかったんですが、現在は10名以上の女の子が在籍しています。
ファッション学科に在籍していた、かわいらしい女の子が入学してきたり、見た目はまったく車が好きそうには見えない子もいますよ(笑)
広報としては、女の子を増やしていきたいという意図は持っています。
女性ならではのきめ細やかさや、しっかりしている部分などが、企業の方からの受けもいいですし、どうしても男性が多い職場になるので、女性がいると雰囲気も良くなりますしね。
女子学生を増やすために何か取り組まれていることはありますか?
5年前に大きく広報戦略を見直しました。広報のスタッフも女性が多く、女性の感性で、意図的に女性を増やす取り組みを行ったり、Webに力を入れるようにしたことで、年々女子学生の比率が増えて行くと同時に、ここ数年は少しずつ入学者が増えてきています。
キャリア支援で最も重視しているところはどんなところでしょう?
一人一人との面談を最も重視しています。
同じブランドでも、グループ会社やディーラーによって大きな違いがあるので、そう言った部分は学生に伝えて、学生の要望や適性に合った職場を選定して紹介するようにしています。
特に就職活動が遅れている学生や、うまくいっていない学生は気にかけています。
うちの学生は1人だいたい2、3社と、面接を受ける数が少ないんです。
内定率が高いのは学校と企業の信頼が大きく関係していますので、学生には企業や内定頂いた会社にたいして迷惑をかけることがないよう、しっかり勉強するようにと日頃から言っています。
最後に目指すキャリア支援とは?
「学生の声を聞きながら一緒に就職を勝ち取っていく」というところでしょうか。
就職率も100%をキープし、企業の方からの評価も高く、これまで取り組んできたことがしっかりと結界結びついてきているという実感を持っています。
専門学校ESPエンタテインメント
大阪駅から徒歩圏内にある音楽とタレントと声優の専門学校ESPエンタテインメント。ESPはもともと国内外の有名アーティストたちが愛用するギターメーカーで、世界の音楽・芸能界とつながっている強みを持っています。
今回は就職・キャリアサポートセクションの大橋健志朗様にお話を伺いました。
最近の就職状況はいかがでしょうか?
うちは主に音楽業界への就職をサポートするキャリアサポートセクションとアーティストとしてのデビューをサポートするデビューサポートセクションの2つがあるんですが、私が担当しているキャリアサポートセクションでは、企業様からの求人は毎年増加傾向にあり、昨年も多くの求人をいただきました。
これは、ライブやフェスの開催数が年々増えているということもありますが、大阪校ができて今年で11年目になり、卒業生も数多く活躍してくれているので、どこの会社にもうちの卒業生がいるような状況になってきているというのが大きいんだと思います。
キャリア支援として力を入れている部分はどんなところでしょうか?
可能な限り学生一人ひとりに対応するというところに力を入れてまして、普段から学生とはコミュニケーションを取るようにしています。
求人情報が届いたら、その求人に合いそうな学生に声をかけるなど、普段から学生の声を聞いてそれぞれの学生がどういうところに就職したいのかを把握して、それぞれの学生にあったサポートができるように心がけています。
また、学生のうちから現場を肌で感じて、必要とされている人材を学生自身に感じてもらうことに最も力を入れています。
うちで就職を目指すというと一番多いのがコンサート現場で働きたいという声です。音響さんとか照明さん、楽器スタッフのローディーさん、はたまたコンサート自体を作るイベント制作の会社などです。
ですので、在学中にコンサート現場の様々な仕事や流れを経験することができるように、ESPでは年間にたくさんのライブやイベントへスタッフ参加できる機会を用意しています。
来週もサマーソニック、モンスターバッシュ、SCANDALさんの10周年フェスに行く予定ですが、それらは合わせて120人くらいの学生と20人の講師が参加する予定です。
現場でプロの人たちと働くことで、繋がりを作ってもらうという部分も重要だと思っています。
ほかにも、毎年専門学校ESPエンタテインメント主催で全国からたくさんの企業様をお招きして合同企業説明会を実施しています。
卒業生ががんばってくれているからと参加していただいてる企業様も多くて、そういった部分では信頼関係が構築できているんだと思います。
デビューのサポートではどんなことをされているんでしょうか?
デビューサポートセクションでは、学校にレコード会社やプロダクションなど業界の方々に来ていただいて、オーディションを実施しています。
大きなものでは、年に4つのオーディションライブイベントがあるんですが、その他にも企業様が主催するコンテストなど、年間に100日近いイベントがあって、イベント終了後に業界の方からの声がかかりデビューに繋がった学生もいます。
他にもタレント発掘オーディションなど、とにかくチャンスを多く提供することで、自分の可能性を広げてもらえればと思っています。
卒業生の中にはEXILEのATSUSHIさんなど著名な方がいらっしゃいますね!
はい。デビューにしても就職にしても卒業生の活躍は在学生にとっても非常に大きくて、たまに来校してもらえたりすることもあるんですが、その存在自体が大きな励みになっていると思いますね。
学校としても卒業生の就職先の実績が一番効果的だと思っています。
就職面でも業界では大手の企業に就職している学生が多いんですが、会社名だけでは中々高校生には伝わらないので、こういう超一流のアーティストの音響を担当しているとか、誰々のコンサートに関わっている企業で卒業生が活躍してる、といった形でホームページなどには掲載するようにしています。
強化しようとしている取り組みはありますか?
学生にもっと自主的に就職活動をして欲しいという思いがあるので、早い時期から就職への意識付けをしたいと考えています。
具体的には1年生から「就活キックオフセミナー」を実施していて、音楽業界の企業の方に来ていただいて、求められる人材についてお話をいただいたり、男子学生向けに「スーツの着こなし講座」、女子学生に向けては「就活メイク講座」などを実施しています。
こういった取り組みで早い時期から就活に対するモチベーションをあげてもらえるように意識しています。
最後に目指すキャリア支援とは?
夢を持って入ってきてくれているので、その夢を叶える手助けをしてあげたいですね。学校が学生を引っ張っていくのではなくて、学生が主体となって動いてもらって、我々はその学生が夢を叶えるサポートをしていくというのが、目指すところです。
まとめ
今回は卒業後の進路に特長があり、大変興味深い3校の専門学校に取材させていただきましたが、いずれの専門学校も就職・キャリア支援には力を入れられているところばかりでした。学生だけのことを考えるのではなく、就職先の企業や業界にも配慮した教育を行っていることで、信頼を獲得していることがうかがえました。次回もお楽しみに!