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就職・キャリア支援で学校は変わる!参考にしたいキャリア支援の取り組み【専門学校編 Vol.2】

ホスピタビリティツーリズム専門学校・大阪ブライダル専門学校、キャットミュージックカレッジ専門学校、関西学研医療福祉学院

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就職・キャリア支援で学校は変わる!参考にしたいキャリア支援の取り組み【専門学校編 Vol.2】就活サポート、キャリア支援は、それを目的として入学する学生を抱える専門学校にとって非常に重要で、入試広報にも直結します。
今回はシリーズ企画の2回目。前回に引き続き就職・キャリア支援に力を入れている専門学校に取材を申し込み、学校で実施しているキャリア支援についてお話を伺いました。

ホスピタビリティツーリズム専門学校、大阪ブライダル専門学校

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広報課 課長 篠原健太様

広報課 課長
篠原健太様

大阪市西区にあるホスピタビリティツーリズム専門学校と大阪ブライダル専門学校。観光・サービス業界の要請を受けて創立されたということもあって、「ホテル科」「ホテル科 海外キャリア専攻」「旅行科」「テーマパーク科」「エンターテイメント専攻」「鉄道サービス科」「エアライン科」「エアポート科」「英語コミュニケーション科」「ブライダル学科」など観光・ブライダル分野で即戦力となる人材を育てるための多くの学科が設置されています。
今回は、広報課 課長の篠原健太様にお話を伺いました。
ホスピタビリティツーリズム専門学校
大阪ブライダル専門学校

最近の就職状況についてはいかがでしょうか?

昨年は約630社から求人票をいただいて、この3月卒業した学生の就職率は99.4%でした。
ただ、最終的には100%になるように、卒業後も希望者については手厚くサポートしています。
最近はインバウンドの影響で観光業界が潤っていることもあって、売り手市場ですね。
御社のある京都でもホテルがどんどん建ってますよね。
また、最近ではホテルだけではなくて、美容室などにもコンシェルジュという役職を設けているところもあって、これまでになかった業種からも求人をいただく機会が多くなってきています。
今はありがたいことに求人は多くいただいているので、ミスマッチがないように、それぞれの職場にどういう人が向いているかというところを、一人一人の学生の適性を見ながら紹介するようにしています。

ホスピタビリティツーリズム専門学校の教室

就職・キャリア支援の取り組みについて教えていただけますか?

うちのキャリアサポートセンター内には、各業界の出身アドバイザーがいるので、普段の授業を受け持つ担任とマンツーマン体制で、各学生のサポートにあたっています。

たとえば「面接道場」というのを毎日実施していて、希望者は希望の時間枠にサインしておくことで、先生が試験管役になって模擬面接を受けられるようになっています。

ホスピタビリティツーリズム専門学校笑顔が作れないことが悩みの子には、テーマパーク科の表現を教えている先生が「笑顔の出し方講座」を個別にやってくれたり、一人一人のことを担任と就職担当が把握していて、この学生はこの先生の指導を受けた方がいいんじゃないか?といったディスカッションを常に行っています。担任が全て見るのではなく、教員同士も横のつながりでそれぞれの学生にとって最適なサポートができるような体制を作っています。

また、入学して全員が受ける「ホスピタリティーヒューマンスキル」という授業では、相手の立場に立って「考える」だけではなくて、「行動に移す」ところまでを意識させる教育を行っているのですが、こういったヒューマンスキルを育てることが、就職にも実際の仕事にも役立つのではないかと思っています。

これまで、就職・キャリア支援で困ったこと等はありますか?

少し前になりますが、入社試験の筆記テストで落ちる学生が年々増えてきているという傾向がありました。
専門学校に来る学生は自分でやりたいことを見つけて、学校に入ってきてくれています。授業などを通して業界研究を行い入りたい会社を見つけていくのですが、せっかくやりたいことがあって見つけた会社を筆記試験で落ちてしまうというのは非常にもったいないと思っていました。
我々でなんとかしようと色々試みましたが、なかなか成果がでず、これをなんとかしようということで、6年前から塾と提携をして筆記試験対策を実施しています。
塾も少子化で生徒募集に苦労されているところがあって、お互いwin-winの関係で提携させていただいています。
そこからは筆記試験で落ちる子はガクンと減ったので、非常に効果はあったかなと思っています。

学生との壁をなくすため、教務室に壁はないそうです。

インターンシップは実施されていますか?

はい、ただうちでは「インターンシップ」とは呼んでいなくて、「企業実習」という形で、1カ月ちょっとの期間、お給料をいただいて働いてもらう形を取っています。
働くということは、収入を得るということですので、収入を得て働くことの大変さややりがいを感じて欲しいのと、無償だと企業側も頼みにくかったり、言いにくい部分がどうしても出てくると思うので、実際に働いた際とのギャップが少なくなるように企業側にもお願いさせていただいています。
企業実習からそのまま就職につながるケースもあります。

企業側のニーズはどのように汲み取っているんですか?

日常的に各業界の就職担当が企業に出向いて、色々なお話をいただいているのと、夏場は多くの学生が企業実習に参加しているので、担任が実習先の企業を回ってご挨拶がてら学生の様子や企業側のニーズを汲み取るようにしています。

また、毎年2〜3月ごろには業界の人事担当の方をお招きした勉強会を開催しています。
例えばLCCがグッと伸びてきた時に、ピーチの営業本部長様に来ていただいて、LCCの取り組みについて講演いただいたり、昨年は求人のスケジュールが変更になった際にリクルートの方に来ていただいてどのような動きになるかを説明していただいたりもしました。
USJの方にもハリーポッターが公開される前に来ていただいたりもしましたね。

そうなんですねー!やはり業界の色々な繋がりがあるんで、情報も入ってくるんですね。

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企業が専門学校生と一般の学生とを比較して専門学校生を採用する理由ってどこにあるんでしょう?

私も企業の採用担当の方によく聞くんですが、よく言われるのが、「想いが違う」というところですかね。
大学は総合職などを目指す学生もいると思いますが、私たちの学校に来る学生は、最初から専門職を目指しているので、接客が好きな子が集まっているんですね、そういった部分で「最初から違う」とよく言われますね。

最後に「目指す就職・キャリア支援」とは

目指すところですか。。ゴールはないんだと思っています。
うちの学校に「限りなき学生満足度向上」という言葉があるんですが、
卒業の時にこの学校に来てよかったと思ってもらえるように、それを毎年繰り返していく。ということではないでしょか。

キャットミュージックカレッジ専門学校

IMG_gaikan大阪の吹田市にあるキャットミュージックカレッジ専門学校は、音楽・ダンスなど、エンタテインメントのプロを育成する専門学校です。トップクラスの施設設備を使用し、ミュージシャンやクリエイター、音響エンジニア、ギタークラフトマン、ダンサーなどになるための専門知識や技術を身に付けます。今回は、広報室の美根宏史様にお話を伺いました。
キャットミュージックカレッジ専門学校

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最近の就職状況はいかがでしょうか?

CATでは、将来的にアーティストを目指している学生に対するデビューサポートとエンジニアやスタッフを目指す学生に対する就職サポートと大きく二つのサポートを行っています。

アーティスト系の場合は、オーディションを受けるというところがステップとなります。近年は、即戦力を求める傾向も強く、入学時から専門教育を受けた学生を望まれるケースも増えたなと感じています。

就職に関しては、大学生との就職の境目がなくなってきているのではないでしょうか。華やかな世界に映りますが、決してそういった面だけではありませんし、業界全体としても厳しい面もたくさんあると思います。

求められる人材も、専門的な知識や技術だけではなくてコミュニケーション能力なども強く求められます。CAT生は、そのあたりも高く評価していただいているようで、就職希望者については就職できています。

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音楽業界の専門学校ってどのようなキャリア支援を行っているんでしょうか?

アーティストを目指す学生に対するデビューサポートでは、多くのチャンスを学生に提供できるように、レコード会社やプロダクションと連携を取りながらオーディションを個別に実施したり、学内でも毎年音楽関係各社をお招きして在校生や卒業生が参加する公開オーディションを開催しています。

このようなオーディションから一般公募しているオーディションなども含め総合的に案内することで、学生に数多くのチャンスを提供していきたいと思っています。

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そして、エンジニアやスタッフを目指す学生には、「企業研修制度」を実施し、在学中から現場での経験を積めるように、企業と連携しながらこの「企業研修制度」を実施しています。研修もインターン研修から賃金を企業からお支払いいただく研修まで実施しています。

特に、賃金が発生するものは、単にアルバイトの感覚ではなく、仕事の対価としての感覚をしっかりと持ってもらうために積極的に推進しています。

その研修先が就職先になることも多いので学生も真剣に取り組んでいます。

デビューとなると、全員が必ずデビューできるわけではないと思いますが?

もちろんその通り厳しい世界です。専門学校2年間でデビューできる保証はありませんし、5年頑張ったからできるというものでもありません。ただ、継続していくことがやはり大切なので、卒業後でもオーディション情報の開示や学内施設の無料レンタルなどを通じて卒業生の活動もしっかりと応援していく体制をとっています。

キャリア支援で力を入れているのは、どういうとことでしょか?

就職サポートについては、早期に学生の意識をしっかりとつけさせること。そのために、入学後から、卒業後の進路に向けた取り組みを行っていきます。

就職に向けて作成した「就職活動テキスト」などを使用し、働くことや社会の仕組みなどを理解していきます。当然、企業からのフィードバックもとても重要なことで、その内容をもとに、学生への指導に活かしていきます。

CATは、担任制なので、担任とキャリア担当スタッフが連携を取りながら、一人一人の状況を確認しながら就職に向けてサポートしていきます。

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就職・キャリア支援については、どのような広報が効果的ですか?

やはり、卒業生の活躍が一番説得力があると考えています。
今活躍している卒業生たちも学校に遊びに来てくれたりします。その時には、学生に自分の経験やアドバイスをくれます。

音楽やエンタテインメントの世界は、様々な面で厳しい世界だと思います。でも、仕事そのものの中身だったり、やりがいだったり、何より好きなことを仕事にしている楽しさや充実感からさらに将来に向けて発展していくところがあります。しっかり自分自身の夢やステップアップしていく気持ちをしっかり持ってやっていってほしいですね。

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最後に「目指す就職・キャリア支援」とは

学生を就職させるための奇策はないと思っているんです。

学校としては、学生のニーズと企業や業界のニーズをいかにマッチングさせていくかということが大切だと思います。そしてそれをやり続けていくことで、しっかりと結果を出していけるように努力していきたいと思います。

学生たちにとって、この専門学校での2年間は将来大きな財産になると思っているのでそこを裏切らないようにしっかりやっていきたいですね。

関西学研医療福祉学院

関西学研医療福祉学院

介護福祉学科 学科長 澤浦知子

介護福祉学科 学科長
澤浦知子

最後は奈良県にある介護福祉士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、看護師を目指す専門学校である関西学研医療福祉学院。
目指す職業別に5つの学科があります。今回は介護福祉学科学科長の澤浦先生にお話を伺いました。

関西学研医療福祉学院

最近の就職状況についてはいかがでしょうか?

介護の現場は今人材不足ですので、就職率は開校して以来、毎年100%です。
多くの施設の採用担当者に来校していただいたり、求人票やパンフレットを送っていただいたりしてますね。

今年嬉しかったのは入学者が誰一人脱落することなく卒業し、介護の分野に就職できたことです。
毎年どうしても2、3人は退学を余儀なくされることがあったんですが、今年は入学した学生全員を送り出すことができたので、そのことについては誇りに思っています。

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介護のお仕事にもインターンシップはあるんですか?

インターンシップではないんですが、2年生になると特別養護老人ホームや介護支援施設など様々な施設に450時間、授業の一環として実習に行くことになります。学校で学んでいることを実践します。
長期に渡って実習をしていく中で、施設の方から「ここに就職しませんか?」と誘われることもありますし、学生もここだったら自分に合っているなと感じた場合はそのまま就職が決まることもあります。

また、当校はもうすぐ20周年を迎えますが、実習先にも多くの卒業生が働いていまして、在学生を実習に送り出す時には、「今度こういう学生が行くので、サポートお願いします」とお願いさせていただくこともよくあります。卒業生には個別に丁寧にみてもらっていて、大変助かっています。

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キャリア支援で最も力を入れているところはどんなところでしょうか?

日頃から学生との垣根をできるだけ低くして、良い人間関係を構築するように全ての教員が心がけています。

そのおかげで、学生たちが卒業してからもよく学校に遊びに来てくれて、どんな風に働いているかとか、どんな研修を受けているか、仕事上での悩みをどのようにサポートしてもらっているかとか、いろいろ現場の生の情報を聞かせてくれます。

また、施設の方とも関係を密にするように努めています。
実際に施設の方に講師として学校に来ていただいて授業をしてもらっていまして、その際に今施設で課題となっていることを教えていただき、問題点を共有させていただいたり、学生とのコミュニケーションの中で、今の学生の性質や本質を肌で感じてもらって、それぞれの学生に対する接し方もご理解いただく機会になっているのではないかと思っています。

学校としては、施設と学生それぞれとの関係を密にするためのこうした日頃からの小さな積み重ねが、学生が希望する就職先に就職をして、能力を発揮して、イキイキと働けることにつながるのではないかと思っています。

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それにしても本当に学生さんと仲が良さそうですね?

はい、これについては本当に学生と教員との垣根が低いので、職員室にも気軽に入ってきて。ちょっと言葉遣いなんかは気軽すぎて困ることもあるんですけど(笑)

まずは、いろんなことを話せるという環境作りが、退学者が少ないことにもつながっているんだと思いますし、いろんな不安を乗り越えて介護の現場で働く意思を固めることにもつながっているんだと思っています。

卒業して2〜3年後には、みんな就職先の中心的な人材となって頑張ってくれていますので、そういう姿を見ると本当に嬉しいですね。

全国的に、労働環境の悪条件や虐待などの事件の報道で、介護に対するイメージを損なうようなこともありましたが

世間では施設などで虐待や事件が起こると、すぐに重労働だとか、待遇面などの悪い部分ばかりを取り上げて、そのことが一因だと言われたりもしていますが、私は学校できちんと勉強していないからあのようなことが起こるんだと思うんです。
学校では、2年間、対人関係について学んだり、障害者の方や高齢者の方の心理状態や認知症の方の行動について学びます。
乱暴な行動や暴言を吐かれたりする場合でも、しっかり学んでいれば、何が原因か、どういった対応をすべきかを考えることができるようになります。だから学校でしっかりと勉強する必要があるんです。

また、施設の中にはキャリアアップの仕組みを導入するなど、頑張る人はしっかり評価する形で処遇改善に取り組んでいるところもどんどん出てきています。
こういった部分はマスコミにはなかなか取り上げられないのでぜひみなさんにも知ってほしいですね。

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今、介護の仕事は風評被害や待遇面であまりいい印象がありませんが、卒業生から聞こえてくる声は全く逆で、みんなそれぞれの職場でやりがいや目標を見つけて「楽しい」と言って頑張っています。
夜勤もありますし、決して楽な仕事ではないと思いますが、今後高齢者は増えていきますし、ぜひ介護福祉士が必要とされ、やりがいのある仕事だということをみなさんにも知っていただいて、介護の仕事のイメージアップをしていきたいですね。

最後に「目指す就職・キャリア支援」とは

人材不足の業界なので、就職自体はどこでもできます。
人って、自分と意見の違う人を排除したりしがちですが、本校では「人の想いを大事する」ということを学んできています。
そのことを現場で大事にして、信念を持って働いていける人材、介護の世界に新しい風を吹き込んでくれる人材を育てていきたいと思っています。これが私達の目指すキャリア支援です。

まとめ

前回の時も感じたことですが、今回取材させていただいた3校も、専門学校のひとり一人を大切にしっかりとサポートする姿勢がとても強く感じられました。また、就職・キャリア支援といっても業界によってまったく異なる、さまざまな施策が必要なんだということがわかりました。自校の学生のことだけではなく、業界全体のイメージアップや待遇面での底上げを目指す教職員の方の言葉からは、熱い想いが感じ取れました。

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